大根明神祭
大根明神はかつて花渕崎の東海上7キロの岩礁上に祀られている2つの祠です。大根明神は鼻節神社の奥の院であるとも言われていますが、平安時代の貞観11(869)年の大地震・津波の際に海底に沈んだため、現在は鼻節神社の境内に里ノ宮として祀られています。
『七ヶ浜の民話といい伝え』(鈴木與蔵編)には、「昔、親船が荷物を満載して花渕浜に向けて航行中に、にわかに海が荒れておおしけとなり、波にもまれながら大根様の上を通ったら、みしっと音がして船底に穴があき、海水が吹き出したので大騒ぎになった。早速垢取りでみんなで水を汲み出したが、だんだん水かさが増してきた。船頭が鼻節神社の方に向かって手を合わせ、『鼻節様、どうか助けてけさえん。』と一心に拝んだら、今まで勢いよく吹き出していた水がぴたりと止んだのでほっとした。ようやく花渕浜に着いて船底の穴をのぞいたら、大きなアワビがしがみついていて穴を塞いでいた。この事があってから村の人達は、鼻節神社のお祭りには、生きたアワビを供えるようになったと伝えられている」と記されています。
現在も旧暦の6月1日に大根明神祭を開催し、大根明神が沈む海域でアワビを奉納し、海上安全を祈願しています。
- 【祭日】旧暦6月1日
※一般の方が祭事に参加する事はできませんが、鼻節神社境内の里ノ宮の参拝は可能です。