健診で言われた、上唇(じょうしん)小帯(しょうたい)ってなに?
皆さんの中で、乳幼児健診(1歳半健診、3歳児健診など)のときに、お子さんに「上唇小帯が短いですね。」
と指摘されたり、上唇小帯異常にチェックが付いていたという経験をした方がいらっしゃるかもしれません。
今回は、その「上唇小帯」について説明します。
上唇小帯ってなんだろう?
自分の(うわくちびる)を指でめくって唇(くちびる)の裏側を見てみてください。
前歯の真ん中に、くちびるの裏から歯ぐきに向かって縦にのびている粘膜のヒダがあります。
これが「上唇小帯」です。
歯ぐきに付着する場所は人によって、歯のすぐ近くや逆に歯から離れた場所にあったりします。
また、左右にずれることもあります。
個人差はありますので、家族の方と比べてみてください。
食事や会話が普通にできれば何の問題もありませんので、気に留めることなく、普通に生活できます。
先ほどの写真と比べてみると、下の写真の幼児期の上唇小帯は太くて異常に思えますね。
しかし、実は乳幼児期の上唇小帯は太くても異常ではなく、時間の経過と共に自然治癒する場合が多いのです。
子どもの成長が進むにつれ、上の顎(あご)が発達するため、上唇小帯の位置も少しずつ歯から離れていきますが、
下の写真のように乳幼児期に乳前歯の真ん中に「上唇小帯」の付着部位が入り込んでしまうと、
子どもの成長が進んでもその位置が変化せず、歯と歯の間が閉じずに隙間ができてしまうことがあります。
そのことにより、発音に影響が出ることがあり、その場合、上唇小帯を切除する必要がある場合もあります。
しかし、実際、幼少期で早期に切除が必要になる場合は、ごく稀です。
永久歯が生える前のお子さんについてほとんどの場合、上唇小帯の切除は必要なく、
経過を観察するだけで良いということを子育て中の保護者の皆さまに知っておいていただきたいと思います。
注意することはある?
上唇小帯は大きく、歯に近いので、歯ブラシが当たりやすいです。
歯ブラシが当たるととても痛いのでお子さんが歯磨きを嫌いになってしまう可能性があります。
そのため、虫歯になりやすいです。
ポイント★ 上唇小帯と言われたら虫歯リスクが高い
ちゃんと歯を磨かなきゃいけないのはわかったけど、上唇小帯を傷めないようにってどうすればいいの?!
と思われた方、多いと思います。
以下にポイントをまとめてみましたので参考になればと思います。
《上唇小帯を避けた仕上げ磨きのポイント》
・歯ブラシはえんぴつ持ちで力を入れずに細かく磨く。
・保護者の指で上唇小帯を優しく抑える。
・左右の前歯を1本ずつ磨く。
・「イー」の口と「アー」の口にさせて磨く。
まとめ
日々一生懸命育児されている中で、健診で急に「異常です」と言われるとドキッとしたり不安になったりするお母さんが多いと思います。
お伝えしたように、‛永久歯が生える前のお子さんであれば上唇小帯は経過観察で大丈夫’です!
ただ、虫歯にはなりやすくなっていますので、上記にまとめたポイントを参考に歯磨きしてみてくださいね~!
いつも健診の事後指導で、歯科も保健師とともに振り返える時間はありますが、その時だけではモヤモヤした気持ちはなかなか払拭できていないかな、と思い、何度も見返せる子育てポータルにまとめることにしました。
今回のお話が皆さんにとって安心材料になれば幸いです!
参考:①一般社団法人 豊橋市歯科医師会
https://tda8020.org/newsdigest/h20210208.html
https://tda8020.org/newsdigest/h20110124.html
②歯科素材.com
https://www.dental-sozai.com
③いらすとや
https://www.irasutoya.com